【7月26日】
今朝は、昨日群山市でお土産にいただいた出雲屋のあんパンを朝食にいただいて、スタート!
昨日合流できなかった視察団のメンバーとようやく会えました。
国会議員、県議会議員、区議会議員、市議会議員、市民と様々な立場のメンバーです。
午前中は、地下鉄で国会議事堂駅へ移動し、マニフェスト実践本部を訪れました。


元は、日本のマニフェスト研究所での事例から学んだという、韓国のマニフェスト実践本部。
でも、日本ではまったくここまで追いついていません。
韓国では、大統領選挙をはじめ、各首長選挙、さらに地方議会議員選挙にいたるまで、総勢8万2千件のマニフェストをすべて同じフォーマットで集め、インターネットで閲覧できるようになっています。これを始めたのが今日訪れた実践本部。民間団体です。が、彼らの運動は選挙管理委員会を動かします。これまで書庫に眠っていたマニフェストをすべてPDF化させることに成功しました。
マニフェストには、政策と、その政策を実行するための財源について書かれています。有権者にとって、投票行動の判断基準のひとつとしてかなり重要な役割を担っています。
さらに、大統領と首長においては、1年ごとにマニフェストを点検、履行度を公開しています。
マスコミも、マニフェスト実践本部の取り組みに注目するようになり、民間、公的機関、マスコミが一体となって、政治への市民参加を促進しています。

『若者の政治離れ』と嘆く前に、できることはいくらでもあるんだと思います。
後日、マニフェストのフォーマットを見せていただくことになっています。楽しみ。
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お昼はコンビニでおにぎりを購入。読めないハングル、えいっ!と買ったおにぎりはまさかの激辛キムチおにぎり。ヒーヒーいいながらも美味しくいただきました。
午後は、保険医療連帯のウ・ソッキュン医師のお話を伺いました。

韓国では、『経済自由区域』と呼ばれる地区のことです。日本でいう、国家戦略特区です。いま問題の今治市もそうですし、今回の視察団の団長、奈須りえさんの大田区もそうです。成田市や、仙台市もそうですよね。
韓国では、この経済自由区域では教育、医療、労働、環境権の例外が認められています。本来であれば国会の許可が必要なのですが、経済自由区域については行政独自の告示で定めることができるようになっています。
…そうなると起こるのは、過剰な規制緩和です。そして、外資、大企業の参入。
特に大きな論争になったのが、営利病院。営利病院というのは、病院が自由に外部資本の投資を受けて、国内外の患者相手に各種の収益事業をおこない、より多くの収益を挙げられるようにする病院のことです。
収益をあげるためなら、患者の健康被害もおかまいなし。それが営利病院です。
他にも、ガス、鉄道、電気の民営化もおこなわれましたが、これらは部分的民営化で、全体としては踏みとどまっているそうです。
『民営化』と言えばいいイメージがあるかもしれません。でも、果たしてすべてがすべて、民営化でいいのか。公が担うべき業務や役割はなんなのか、そこは日本でもしっかりとした市民レベルでの協議が必要だと感じました。


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地下鉄に乗り、50分。仁川市へ。仁川は、実際に経済自由区域に指定され、営利病院闘争がおこった街です。
保健医療連帯労働組合仁川地区本部の皆さんと面談をおこないました。昼のウ・ソッキュン医師の話を伺ってからの流れだったので、闘争の話もよく理解できました。

仁川に営利病院誘致が決まったのは10年前。この10年間、医療労働組合と市民が連帯して、営利病院誘致を阻止します。
時には、国会前で座り込み、署名を集め、国会議員に働きかけ、2010年の統一地方選挙では、全国で唯一、野党共闘により候補を一本化。草の根運動が、結果として、営利病院阻止を勝ち取りました。
面談のあと、交流会で話を引き続き伺うと、とにかく明るく楽しくなければ運動は続かない、ということでした。そして、そもそものところで、仁川を経済自由区域に指定させてしまったことは自分たちの大きな反省点である、と。

闘いに勝ってなお貪欲な彼らの姿勢に感銘を受けるとともに、日本の民主主義運動の未熟さ(一度は成熟したのかもしれないけれど、わたしの知る限りで)を再認識しました。粘り強く、粘り強く。見習いたいなぁ。

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帰りはソウル駅で地下鉄乗り換え、明洞で買い物をして、ソウルの夜風に当たりながらホテルまで。コインランドリーで洗濯をして、一日を終えました。