市議会議員側の出席者は、4つの常任委員会の委員長と副委員長(委員長、副委員長は少数会派を除く「主要4会派」の中からわたしたちが知らない間に決まっているので、わたしたちが就くことはできません。第2の排除です。)、議会運営委員会の委員長と副委員長、3つの特別委員会の委員長(上に同じ)、そして「各会派幹事長」です。
高校生はこういう議会の在り方を、どう捉えるのでしょうか。
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明日、明後日と新潟市でおこなわれる全国政策研究集会。
今日は、オプショナルツアーとして、「BRT新潟市の公共交通網整備の現状と課題を見る」に参加してきました。
BRTという言葉をご存じでしょうか。「busrapid transit」の頭文字をとったもので、バスによる大量輸送システムのことです。
新潟市では、導入されて2年目だそうです。
ちょっとわかりにくいので図で示してみます。
こんな感じです。(…わかりますか…?)
今までひとりの運転手が3,4人の乗客を乗せてそれぞれの路線を走っていたバスが、あるひとつの結節点に集まって、そこから目的地まで一気に輸送するという感じです。
新潟市でも、全国各地と同じように高齢化が深刻です。さらに、政令指定都市の中でも2番目にマイカーへの依存度が高い都市です。このため、バス利用率は20年で65%減少しました。公共交通へのテコ入れが新潟市の交通政策の急務でした。そして、バス路線の再編とBRTの導入をすすめたそうです。
導入形式は、公設民営方式。バス車体の購入、停留所などハード面の整備は市がおこない、運営は民間の新潟交通という会社がおこなっています。バス車体は、連節バスという特殊な大型車両が、1台8,000万円。普通のバスは1台2,000万円。半分は国の補助といっても、それもやはり税金。これには議会でも大きな議論があったようです。結果、当初の予定よりは少ない4台を購入し、運行しています。
現在、結節点のひとつとなっているのが、青山結節点。大型ショッピングモールの交差点で、乗り換え待ちの時間を、ショッピングモールの中の休憩所でおこなえるようになっています。充電用のコンセントもあり、もちろんお買い物をして待つこともできます。短い待ち時間は4、5分ですが、どうしても利用者数の少ない路線・時間帯は1時間に1本というところもあり、その時間を過ごせるようにしてあります。バスの時刻表の表示もしっかりしていました。
また、結節点の乗り換えは一つの屋根でつながっていて、雨に濡れる心配はありません。全部で8路線が乗り入れるようになっています。
課題としては、やはりこの乗り換え、待ち時間。乗り換えによる追加料金は不要ですが、当初はかなりの苦情があったようです。しかし、これも乗客の慣れによるところが大きいのか、最近では苦情もないとのこと。また、降り口が前方の1か所にしかないため、大量に降車客のいる最終停留所ではなかなか降りられないことがある、というのも課題。全員が全員ICカードを持っているわけでもなく、そのあたりは難しいところだと思います。(連節車両の入り口は2か所あります)
高松市では、昨年「高松市地域公共交通再編実施計画」https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/file/13513_L28_saihenjissikeikaku.pdf
を公表しています。
この中で、交通結節点についても触れられています。
コトデン三条~太田間の新駅整備に合わせて、バス路線の再編も重要課題になることは必至です。高松の場合、東西の連結が弱く、大きなカギになってくると思います。大きな車両を何台も購入しなくてもBRTシステムという方法をとることは可能ですし、それよりは公共交通機関空白地域に、どのようにしてバス路線を行き渡らせるのかの方が大事なのではないでしょうか。もちろん、一目でみてわかるトータルデザインなどは必要かもしれません。新潟市では一目でわかる赤色を採用しています。
また、「交通」と「まちづくり」が一体となって事業をおこなっていかなければならないということも再認識。そして、市民にとって使いやすい、乗りやすい、選ばれる公共交通が必要だなぁと思いました。
実際にBRTの連節車両にも乗りました。連節車両は快適ですが、やっぱり車体が長いので、男の子が慌てて後ろの方の座席から走って降りていました。新潟市でも導入2年目ということでまだまだ効果検証などもこれからのようですが、参考にすべき点や、課題もしっかりと吸収できたBRT視察となりました。
丁寧に説明と案内をしていただいた新潟市新交通推進課(BRT導入のために作られた課だそうです!)の皆さん、ありがとうございました。
【7月28日】
雨のソウル。
わたしは今日が視察の最終日。
今朝も出雲屋あんパンをいただいて、出発。
地下鉄で2駅の西大門駅で下車。目指すは「韓国労働社会研究所」。
エレベーターを待っていると、年配の男性が「日本人ですか?わたしはこどものころ、京都いました。」と話しかけてきました。「ほ、ほ、ほたるこい~」「かーごめかごめ」と懐かしそうに口ずさむ男性。わたしたち日本人は、アジアの人々への反省の上に生きていかなければいけない、と常々思います。けれど、こうして日本を懐かしんでくれる男性や、道を間違えて話しかけると丁寧に教えてくれる若者をみていると、どこまでいっても、人と人なんですよね。個人としてできることはたくさんあって、ひとりひとりが行動に移すかどうか。
そんなことを、考えました。
さて、韓国労働社会研究所。
研究委員のキム・ジョンジンさんのお話を伺います。
今の研究所は1990年代にできました。前身の労働者教育のための研究所は1980年代に確立していました。
研究所には、労働問題専門に扱う博士研究者が常駐しています。
民主政権下で中央労働委員会委員を務めるなど、社会的地位を築いています。
ソウル市は、2011年からパク・ウォンスン市長になりました。
この市長がすごいのなんの。
パク市長のスローガンはずばり、「労働尊重特別市」!主要政策は①労働権益侵害ゼロ ②労働死角地帯解消 ③生活賃金拡大適用 ④非正規職の正規化 ⑤労働時間短縮 ⑥労働者理事者制 ⑦政策ネットワーク構築 以上が市民との「7大約束」です。
今日はこのうち、④非正規職の正規化 について、重点的に伺いました。
まず、就任後パク市長はそれまで韓国のどこの地方自治体にもなかった「労働政策課」をつくりました。最初はたったふたりだった労働政策課ですが、今では20人の職員がいて、5つのチームがあります。業務が増えることでシステムが構築されていきました。
非正規職の正規化ですが、まず基礎知識として、ここでいう正規職員、非正規職員、これは市の機関で働いている労働者ですが、公務員ではありません。日本とは捉え方が違うので注意が必要です。まず、公務員には正規職公務員と任期制公務員があり、任期制公務員は3年任期で一度だけ2年間の延長ができます。任期制公務員は主に弁護士や労務士で、各部署ごとに配置されています。
そして、非公務員として、「無期(長期契約)職員」「有期契約職員」「派遣職員」に分けられ、さら民間委託している委託先の労働者、というような分類がされています。
パク市長は、これらの非公務員を、すべて無期職員への格上げをしたのです。これがソウル市でいう「非正規職の正規化」です。
しかし、例外となる人もわずかですが存在します。雇用が9ヶ月に満たない者、今後2年以上の継続業務と認められない場合などです。
この政策により、5年間で9,098人が正規化(無期職員化)されました。
え、そんなことして人件費がえらいことになるんちゃうん?と思いますよね。ソウル市の人件費に関する予算執行には日本でいうところの総務省の許可が必要です。1年間で3%だけ裁量が認められていて、それを超えると次年度の交付金が凍結されてしまいます。そこで、一気に政策を進めることはできず、順次進めていくしかできませんでした。それでもまだ9,000人超の人件費となると心配ですよね。有期契約、派遣の労働者というのはほとんどが民間委託先での雇用でした。ということは、給与を支払う時点で、15%ほどの一般管理税や消費税という名目で業者が天引きしていたのです。これらの労働者を無期契約にすることで、15%の人件費が膨らんでも結果、相殺されたそうです。
こまでできるのは並大抵のことではないです。
けれど、みずから掲げた公約を着実に進めていくパク市長、もはやぐうの音もでません。
また、パク市長は若者政策にも力を入れています。韓国も日本と同様、就職ができずにニートや引きこもりになる若者が多いそうです。余談ですが、「過労死」は世界共通言語だということは知っていましたが、「引きこもり」も共通言語なんです。韓国でもそのまま「ひきこもり」と発音します。
パク市長は、低所得の若者に対し、月額50万ウォン(約5万円)を6ヶ月支給する政策を打ち出しました。この支給によって、アルバイトにいく時間を就職のための勉強や自己開発のための時間に使うことが出きるようになりました。年々、支給対象人数は増えています。この政策も、国は否定的でした。しかし、ろうそく革命後、ムン政権の誕生によって枠の拡大が可能になりました。パク・クネの所有品を整理するなかで、「ソウル市の若者手当について反対 しろ」という文書が見つかったそうです。パク・クネ政権下では若者手当は実際に2,800人が1ヶ月で支給を打ち切りになりました。 そして、ちょうど昨日、支給が打ち切られた5ヶ月分の手当の再支給を求める訴訟を起こす、という記者会見が開かれたそうです。すごいな、韓国の若者!
■韓国視察報告会のお知らせ■
8月9日(水)
18:30~20:30
瓦町FLAG8階 市民活動センター会議室
無料 途中参加、途中退室可
植田まきさんとふたりで報告おこないます。
■ ■ ■
本当に充実した4日間でした。
視察を提案していただいた大田区議会議員の奈須りえさん、準備段階から岡山までいらして学習会をひらいてくださり、現地との調整・企画をしていただいた官製ワーキングプア研究会の白石孝さん、全日通訳していただいた鈴木明さん、現地で出会ったすべての皆さん、視察団の仲間に心から感謝します。
そして、部活のコンクール前にも関わらず、「気をつけて行ってきてね、お土産いらんけん、事故や事件に巻き込まれんと無事に元気で帰ってきてねー!」と笑顔で送り出してくれた娘、留守の間サポートしてくれた家族にも、ありがとうを伝えたいです。
連日、長文の報告を読んでくださった皆さんにも感謝です。
この経験をこれからに活かせられるよう、さらに邁進してまいります。
【7月27日】
まさかの二度寝で始まった韓国3日目。
なんとかギリギリ国会議事堂前で皆さんに合流しました。
国会議員会館は日本の会館より大きく感じました。
正義党のユン・ソファ議員が会議室を手配し、面談をしてくださいました。
ユン議員は労働福祉委員会に所属しており、医療特区について、労働者にも悪影響があるということで大変憂慮されていました。
国家主導の規制緩和がすすめられることで、新自由主義が拡大している、とユン議員。
ここで改めておさらい。
新自由主義=政府の規制を緩和(または撤廃)して、民間の自由な活力に任せ成長を促そうとする経済政策。外資導入、国営企業の民営化、公共料金の値上げや補助金カットをおこなうため、市民の生活を直撃する可能性がある。
韓国政府は外国資本に対する税制優遇緩和というけれど、その裏には国内大企業の進出、優遇がある。2002年に経済自由区域が200ヵ所以上指定されましたが、10年以上経って、2015年には未開発地域は43.1%とその効果は薄いのが現実だそうです。
自治体として経済自由区域に名乗りを挙げても、資本誘致がままならず、結局指定区域の解除を申請する自治体が多くあります。
イ・ミョンバク政権、パク・クネ政権の9年間で全国で規制緩和、大企業や外資への税制優遇が進められました。しかし、市民の反発は強く、「規制フリーゾーン法」(地域ごとに独自の産業を指定し、関連規制を緩和する法律)は前国会で廃棄されました。しかし、今国会では保守党のもとで再びフリーゾーン法が上程されるようです。
驚いたのは、ユン議員の話のなかに「セマングム」という言葉が出てきたことです。セマングムを埋め立てて、カジノやゴルフ場建設しようとしている。と。セマングムというのは、一昨日訪れた郡山市にある、世界一長い干潟です。郡山市での面談のときはそんな話は一切出ませんでした。
ここでユン議員は記者会見のため、一時退席。パク・クネ元大統領と企業の癒着、海外の隠し財産についての記者会見だそうです。本当にお忙しいなか、貴重なお時間を割いていただき感謝です。30分ほどして戻って来られたユン議員と、場所を移動して昼食を取りながら懇談の続き。どうしても気になるセマングムについて伺いました。すると、セマングムの埋め立て、カジノ・ゴルフ場の誘致をすすめているのは、全羅北道知事(日本でいう県知事)だそう。そしてさらに、全羅北道出身の国会議員14名が連名でフリーゾーン法を通過させてほしいという嘆願書を出しているとのこと。けれど、基礎自治体はいい迷惑と感じているそうで、環境団体も反対しています。
*
午後からは、ソウルに本部を置く、市民団体「参与連帯」を訪問。発言し、行動する市民運動として国内に1万5千人の会員がいます。運営は会費と寄附。それで自前のビルを持っているのだから腰を抜かしそうになります。15の部署があり、部署ごとに実行委員会があり、弁護士や学者、専門家が所属しています。
政策についてのモニタリングや政策提言おこないます。
日本には、こういう団体はないような気がします。
説明してくれたのは、参与連帯協同事務局長のパク・ジョンウンさん。憲法9条、福島原発、沖縄基地問題などを学ぶため10回ほど来日されているとか。とても意欲的な方です。
参与連帯がすごいな、と思ったのは、民主社会実現のためには何が必要なのか、という軸がぶれないこと。そして、行動の素早さ。立ち位置の調整能力。ろうそく集会では、彼らは徹底して裏方を務めました。
韓国の社会運動、市民の熱を感じました。
懇談後は参与連帯ビルの屋上からソウルを一望。
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少しゆっくりめに移動。みんなでカフェに入って休憩を挟みます。普段少数の立場で活動する議員が集まると、やはり話題は議会のことに。『変な議会多いよねー』『なんとか変えていかなくちゃね』と、全国で頑張る仲間に勇気と元気をもらいます。
今日の最後の訪問は、ソンミサン・マウル。マウルというのは地域コミュニティのこと、ソンミサンは地名です。1990年代に始まり、2000年代に入って拡大しました。
韓国は受験大国、学歴社会です。しかし、その競争には入りたくないというこどもたちが通えるよう、親たちがマウルのなかに学校を作りました。公立学校では学ばないようなことを学びます。こどもたちの自主性に任せることが多いそうです。
ここで参考にしたのが、和歌山にある、きのくに子どもの村学園だそう。韓国では、日本のいいところをどんどん取り入れています。日本も韓国に学ぶべき点は多いです。
いま、マウルの人たちの最大の関心ごとが高齢者福祉とのことで、お互いに意見交換をしました。わたしは、高松市の高齢者の居場所と地域包括ケア、配色見守り事業について紹介。また、孤独死が多いことについても触れました。
韓国は高齢化のスピードが世界一速いそうです。少子化で、高齢者を支える現役世代の減少というのも同じ。同じ課題を、両国が真剣に語り合える場というのは、今回のような小さな集まりでも大切だなと感じました。
ソンミサン・マウルの方々と一緒に遅めの夕食。辛いけど美味しい!ここで、視察団の通訳をしてくれている、韓国在住の日本人の鈴木さんに『太田さん、古本屋さんだったの?なんで?やっていけるの?』とストレートな質問。鈴木さんのお知り合いに大学の先生がいて、韓国の歴史研究のためにオンライン古書店で日本の書籍をよく取り寄せているとか。…と、カランカランとお店のドアが開いて、その先生がなんと偶然にも来店。実家の古書店の紹介をしてきました。
ソンミサン・マウルの方にはどうして議員になったのかと聞かれ、福島の原発事故の話を。すると、『原発ばいばい』とハングルで書かれたピンバッジをいただきました!感激。皆さん細やかな気遣いの方ばかりです。
お腹いっぱいになって外を見ると、雨。タクシーもつかまりそうにないので、視察団みんなでバスに乗ってホテルまで帰りました。
今日もたっぷり学んだ一日。
わたしは、明日の昼で皆さんよりひとつ早いフライトで帰国します。最終日、二度寝しないように、最後までしっかり勉強したいと思います!
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